憧れの勤務地、ポスト六本木は「里山」か?

 憧れの勤務地というのが時代時代でありますよね。例えば丸の内。「丸の内OL」という言葉があっても「八重洲OL」という言葉がないように、東京駅の西側の方で働くことは一つのステイタスだった時代がありました。また業種でいうと金融で、これは経済の中心的役割を担っていた財閥グループの中心に銀行がいたからでしょうか。

 その後、憧れの地は丸の内から六本木に移ります。ここでの主役は外資系やITベンチャー。「ヒルズ族」などという言葉も生みだし、昔の六本木のややいかがわしい雰囲気を一掃しました。国内出張があまりない業種にとって、最寄駅に新幹線が止まるかどうかはあまり重要じゃなかったということでしょうか。

 

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 しかし今、「ヒルズ族」「ネオヒルズ族」などと言われていた人たちの凋落物語が語られ、また六本木ヒルズに入居した会社は業績が落ちる、などともささやかれ(下記参照)、徐々に憧れの対象としての六本木の力も以前ほどでもないようにも思われます。では「ポスト六本木」はどこなのか。

 

ヒルズ族の新入りenishに“六本木ヒルズの法則”発動、最高益だったはずの業績予想が売上以外ぜんぶゼロに : 市況かぶ全力2階建

 

 いま、その一つとして、「里山」があるのではないかと考えています。都心で働くことにステイタスがあった時代が長く続きましたが、その反動が出始める、ということも起きうるのはないでしょうか。

 

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 写真は先日訪問した、徳島県神山町です。見たとおりののどかな里山に、いまITベンチャーがオフィスを構えだしているというのです(神山町に神は棲むのか - 漬物石をずらさないで)。

 神山町で働くこと、を有名にしたのが、NHKに映った一枚の写真で、のどかな自然の中で川に足を浸しながらPCで仕事をしている様子を写したものです(写真は以下リンクにあります)。徳島県は通信インフラに積極投資をしているらしく、通信速度は東京よりも早いなんて話もあります。どうでしょう、ちょっといいかも、と思いません? 川で冷えたら、温泉で暖まるなんてこともできたりするのです。

 

*カフェレポ* 第4回ふるさとカフェ「体験記・創造的過疎の魅力を探る!(徳島県神山町)」 | ふるさとマイプロジェクト

 

 このように、里山には都会にないものがある一方、もちろん都会に当然のようにあるものがなかったりするわけで、そう簡単に物事が進むわけではありません。例えば、わずらわしい人づきあいが嫌だ、とか、仕事帰りにおしゃれなお店でおいしいワインを飲みたい、とかそういうニーズがあったりするわけじゃないですか。でも、ワインのほうはあるんですよね、既に。

 写真は、神山町にある、ワインが充実しすぎているフレンチレストラン、「カフェ オニヴァ」さんです。こちら以外にも、コーヒーのおいしい和食屋さんピザ屋さんなど、あれ、食べたいもの揃っちゃっているかも? てなラインナップです。もちろん山を下りて市内に出れば、ジャンキーなチェーン店もあるわけです。このような状況を踏まえて突き詰めて考えると、必ずしも都心で働かなくてもよいのかも、という気がしてくる人が結構いるのではないでしょうか。

 

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 もちろん丸の内や六本木のように、ある日急に大きなオフィスビルが建ち、多くの人が一度に移ってくる、なんてことは起きないでしょうが、『デフレの正体』の藻谷浩介氏による『里山資本主義』や、高知に移住したプロブロガー (まだ東京で消耗してるの?)が話題になっているように、今後「里山」の注目度がますます上がっていく気がしてなりません。

  とりあえず、短期的にビジネス合宿ができる宿泊設備が神山町にもうすぐできるみたいですので、時代に先駆けて気軽に里山体験をしてみるのもいいですよね。