早慶に両方合格した受験生の多くが慶応を選ぶのはなぜなのだろう

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早慶W合格者の8割が慶応へ 「早稲田は滑り止め」と高3男子
 
 
ほとんどの学部が偏差値で慶応の後塵を拝するうえ、早慶両校にダブル合格した受験生の8割が慶応を選ぶというデータもある(代々木ゼミナール調べ)。「いまや多くの受験生にとって早稲田は慶応の“滑り止め”です」(高3男子)という声まで聞かれるほどだ。

 

 
 本日(11/4)も野球の早慶戦が神宮で繰り広げられ、早稲田が慶応を9-0で倒し勝ち点を獲得しておりましたが、一方高校生の人気という点では、一流週刊誌・週刊ポストによると慶応が早稲田を圧倒しているらしいです。ということで、どれほどの差がついているものなのか、両校の受験データを、比べられることの多い社会科学系3学部(政経/政治、法、商)について調べてみました。
 
 早稲田は慶応の滑り止めというからには、難易度であるとか、競争率であるとかに大きな差がでていることが想像できます。まず難易度ですが、パスナビが引用している代ゼミのデータでは70~68の早大政経に対して68~67の慶応経済、66の早大法に対して68~66の慶応法、66の早大商に対して67~66の慶応商と、際立った差はないように見えます。(難易度は算定機関によって差がある場合があるのですが、ポストの記事も代ゼミを引用元にしているので問題はないかと思います。)
 
 一方競争率については法学部こそ慶応がわずかに早稲田を上回っていますが、政経/経済や商学部に至っては早稲田が慶応を圧倒しています。数字を見る限り早稲田のほうが人気があるといってもよさそうですが、この記事が虚偽の証言に基づく捏造記事ということなのでしょうか。
 
 ここで一つ気付くことに、両校の入試科目の違いがあります。早稲田は英・国・社/数という私大文系では比較的オーソドックスな科目である一方、慶応では国語の変わりに小論文が課されています。
 
 こうなると、もし早稲田と他いくつかの大学を受験しようという人がいた場合、新たな準備が必要となる小論文が課される慶応は避けようとするかもしれませんが、慶応と他いくつかの大学を受けようとしたときに、センター試験なども含めてどうせ国語の準備は必要になるので、早稲田を受験することに科目的なためらいはあまりないはずです。
 
 これが正しいとすると、早稲田第一志望の人よりも慶応第一志望の人のほうが早慶の両方を受験しやすいため、結果両方合格者の多くは慶応に行く、ということが言えそうです。
 
 いずれにせよ、野球の早慶戦を中心に100年以上ライバル関係がある両校が、多少入試での傾向が変わったところでその関係が大きく変わることはないのではないでしょうか。神宮の熱気溢れるスタンドを見ると、そう思えてなりません。