企業の東京一極集中は解消するのか

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 日本だと、大企業というと東京に集まっているイメージがありますよね。時価総額のトップ10企業を見てみると、トヨタを除く全部の会社が東京の千代田区か港区に本社があるという状況です。もうちょっと散らばってもいいのに、という気もしますが、ここまで集中しているとすごいですね。

 業種で見ても、多いのが自動車のほかには金融、通信といった規制の強い業界。こういう業界は霞ヶ関に日参しないといけないので、千代田区や隣接する港区に本社を構えているということなのでしょうか。大変ですよね。

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▼日本企業株式時価総額TOP10(11/20現在)

(順位.社名/本社所在地/業種)
_1.トヨタ自動車/愛知県豊田市/自動車
_2.三菱UFJ FG/東京都千代田区/金融
_3.ソフトバンク/東京都港区/通信、インターネット
_4.NTTドコモ/東京都千代田区/携帯電話
_5.JT/東京都港区/たばこ、医薬、食品
_6.日本電信電話/東京都千代田区/通信
_7.KDDI/東京都千代田区/通信
_8.本田技研工業/東京都港区/自動車
_9.三井住友FG/東京都千代田区/金融
10.みずほFG/東京都千代田区/金融
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 本社東京一極集中から、日本が官僚主導の経済発展を果たしてきたことが透けて見えるかのようなですが、これを米国と比べてみると非常に対照的です。

 まず、所在地も日本のように集中していません。ほとんどの街が、どこそれ? ってカンジですよね。唯一カリフォルニア州のみ10社中3社が存在していますがそれぞれ違う街ですし、同じ州といっても日本よりも広い州ですので(日本:378千km2<カリフォルニア州:424千km2)、これをもって集中ともいえないでしょう。

 商業の中心地、といえばニューヨーク、というイメージがありますが、ニューヨーク州がランキングに登場するのは13位のJPモルガンチェース(金融)まで待たないといけません。このように一つの分野がダメになっても、他が支えられるのもアメリカの強さなのかもしれません。

 また業種も多様性があります。ソフトウェアからハードウェア、消費財から耐久財、製造から小売まで幅広い分野の企業が並んでおり、さすが世界一の経済大国、といった風情ですね、って雑ですかね。話が。

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▼米国企業株式時価総額TOP10(11/19現在)

_1.アップル/カリフォルニア州 クパチーノ/IT、デジタル家電
_3.マイクロソフトワシントン州 レドモンド/ソフトウェア
_4.グーグル/カリフォルニア州 メンローパーク/インターネットサービス
_7.ウェルズ・ファーゴカリフォルニア州 サンフランシスコ/金融
_8.ウォールマートストアーズ/アーカンソー州ロジャース/小売
(*10位はチャイナモバイルだが米国外なので除く)
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 では、日本は今後はどのような変化を遂げていくのでしょうか。霞ヶ関へ通う必要のない企業が強くなっていき、また規制緩和がすすめば、今後東京一極集中が弱まる可能性があるでしょう。地方のほうが様々なコストが低いですし、現にファーストリテイリングユニクロ)のような地方発で世界的な企業になった例も出てきています。

 一方、地方へ行くことを「左遷」というような、分散化を阻む文化もまだまだ存在しています。以前、IT企業の社員が徳島県神山町の河原で足をひたしながら仕事をしているNHKの映像が、多くの都会で疲れたビジネスパーソンたちを釘付けにしましたが、マイナスのイメージを打ち消すことができるような魅力を地方がいかに生み出していけるか、にかかっているのかもしれません。


「IT企業 農村へ向かう」NHK松山放送局
(※川で仕事をしている写真があります。冬に見ると寒そうですが)