なぜ競合誌って何から何までそっくりなのか

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 どこの業界にも同じカテゴリの商品やサービス出すライバルっていますよね。ソニーパナソニックJALANA、イオンとヨーカドー、吉野家すき家などなど、それぞれ工夫を凝らして競合に負けない商品・サービスを開発したり、そのよさをアピールしたりしているわけです。

 が、こと雑誌をみると、いかに競合誌にそっくりに作るかをお互い競っているかのようなフシがあります。

 泣く子も黙る大手出版社の講談社小学館は、それぞれ「週刊現代」「週刊ポスト」という週刊誌を出していますが、発売日は共に月曜日で、表紙も文字中心のテイストが似通っています。記事のテイストも似ている(気がする)ので、恐らく読者層も似通っているのでしょう。

 同様に、大手新聞社が出す「週刊朝日」「サンデー毎日」は共に火曜日発売、表紙は人物の写真が大きく、とこちらも似通っています。ちなみに「サンデー毎日」はサンデーに出るわけでも毎日出るわけでもない、というのは手垢がついたネタですね。戦時中は「週刊毎日」という、これまた不思議な誌名だったとか。

 文芸系出版社の「週刊文春」「週刊新潮」は木曜日発売で、共に表紙は絵で、そのテイストの似通いっぷりは雑誌名が書いてないとどちらがどちらか分からないほどです。出版社の看板は硬そうなのに中身がわりとエグいのも似ていますね。

 他にも「日経ビジネス」「週刊ダイヤモンド」「週刊東洋経済」のビジネス系が月曜発売だったり、「週刊女性」「女性自身」の女性週刊誌が火曜日だったりと、枚挙に暇はなさそうです。ただし、「週刊少年ジャンプ」が月曜である一方、「週刊少年マガジン」が水曜だったりと、競合誌でも同じ曜日じゃない例もあったりするようです。

 このような状況になっているのに、大きく3つの理由があると思うのです(笑)。

 一つ目はまず、それぞれ似通っているから曜日を変えても部数は増えない、という点ですね。(怒られそうですが)中身が似ているので、仮に「週刊ポスト」の発売日を水曜日にしても、「週刊現代」読者は水曜日に「週刊ポスト」を買いはしないと。一方マンガ雑誌はある意味中身は完全に違うわけなので、「ジャンプ」読者が「マガジン」も買うことはありうると。そんなブルジョワっぽい子供、イヤですが。

 似通っているところは必ずしも悪いわけでもなく、例えばある週の「週刊現代」の特集が気に入らないヒトがいても、そんな人はその週は「週刊ポスト」を買うことにより、「月曜日に週刊誌を買う」という習慣は維持してくれるわけです。

 二つ目は、宣伝効果を共有できる、という点があると思います。ピザーラがCMをいっぱいうつと、視聴者はピザが食べたくなって、競合のドミノピザの売上も増える、なんてことがあるらしいですが、例えば「週刊文春」を毎週読んでいる読者は、新聞や中吊などで「週刊新潮」の広告を見て、今日が「週刊文春」の発売日だということを思い出したりと、それぞれの広告が競合に対してもプラスに働いて、お互い得をするということがあるのではないでしょうか。書店の棚でも倍目立ちますしね。

 三つ目は、競合誌から読者を引き抜ける、という点です。例えば「サンデー毎日」の発行部数は11万部ですが、「週刊朝日」は18万部です(出所:JMPA)。「サンデー毎日」としては、「週刊朝日」と同様の雑誌ですよ、というアプローチをしたほうが、「週刊朝日」の読者がたまにはこっちも買ってみようか、と手に取ってくれる可能性があるわけです。

 このような、色々な力学で現状になっていると思われる雑誌の発売日。我々が面白い雑誌が読めるのも、ライバルの存在のおかげなのかもしれませんね。