安保関連法案採択に関する各紙の社説

f:id:tsuke_zura:20150716232046j:plain
 7月15日、安保関連法案が採択され大きく話題になりました。新聞各紙のスタンスが明確に出そうなテーマでしたので、ためしに翌日の各紙の社説を並べてみました。

 採決に至るまでの議論については、予想通りといいますか、朝日・毎日が不十分、読売・産経が十分と明確に分かれていました。国民との合意がない中での強行採決は問題だとする朝日・毎日に対して、読売・産経は心のプラカードを用いたテレビ用の演出であるとか、遅いタイミングでの対案提出など、野党の小細工を批判しています(日経は与野党各党の混乱を、やや中立的な立場から指摘しています)。

 ただ、国際環境の変化や、安全保障の重要性については各紙が共通して指摘しており、ベースのところでは特に対立はないことがわかります。特に、朝日新聞が中国の台頭を例に挙げて安保政策の検討の重要性を指摘しているのは印象的です。

 更に朝日は、本来保守側の主張であろう憲法改正にまで踏み込んでいます。集団的自衛権が必要なら、という留保つきではあるのですが、ここだけ読んだら保守系メディアの主張のようにも見えますよね。その読売・産経のほうは、法案が違憲であるということに触れていないため、では改憲を、という話の流れにならないという構図です。

 そして、各紙の要求としては、「議論を深めること」「国民の声を聞くこと」「採決に参加すること」などなど。要求先が与党だったり野党だったりしていますが、基本的にはこれまた各紙似たようなものになっています。法案に対しては意見が真っ二つに割れているような印象もありましたが、どうやら基本的な問題意識、つまり「最近周辺がキナ臭いから、なんとかしないとね」というところでは、少なくとも新聞大手各紙はそこまでバラバラでもない、というのが実情のようですね。