「DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー」2月号の表紙はなぜ黒いのか

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 年が明けて久しぶりに「DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー」(2月号、以下DHBR)を買ってみました。特集は、「日本企業は新興国企業で勝てるか」。なんかDHBRというよりも、「週刊ダイヤモンド」あたりでやりそうな、比較的幅広い読者向けの特集ですよね。表紙もいつもの白じゃなくて黒だし。

 何か理由があるのかと、ここ1年ほどの特集と、表紙の色を見てみました。

2013年
 1月「戦略をシンプルに」(白)
 2月「ビッグデータ競争元年」(淡灰)
 3月「経営の未来」(濃灰)
 4月「持続可能性 新たな優位を求めて」(白)
 5月「最高のキャリアを目指す」(白)
 6月「破壊的イノベーション」(白)
 7月「広告は変われるか」(白)
 8月「企業に学ぶ」(白)
 9月「集合知を活かす技術」(白)
 10月「顧客を読むマーケティング」(白)
 11月「競争優位は持続するか」(白)
 12月「理想の会社」(白)
2014年
 1月「人を動かす力」(白)
 2月「日本企業は新興国企業で勝てるか」(黒)

 去年の2月号も色つきで、また特集もビッグデータと(主観ですが)「週刊ダイヤモンド」的ですね。2月号はそうする、というルールがあるのでしょうか。

 ここで話はやや脇にそれます。

 DHBRは、公表資料によると発行部数が約25,000部で、うち定期購読が約12,000部であると。ここでいう「発行部数」は、日本雑誌協会の「印刷証明付き発行部数」であり、あくまで刷った数であって売れた数ではなさそうです。では実際はどのくらい売れているのでしょうか。

 徳島でタウン情報誌を発行しているメディアコムは、実売部数を公表している数少ない出版社です。それによると、「月刊タウン情報CU*」の12月号は印刷8,000部に対して実売4,432部(印刷の55%)、「月刊タウン情報トクシマ」の12月号は印刷11,000部に対して実売6,522部(印刷の59%)と、実売は印刷の約5〜6割のようです。

 仮にDHBRの実売が印刷の6割とすると15,000部、一方定期購読の12,000部はほぼ100%が「実売」でしょうから、HDBRの読者の8割は定期購読で読んでいるという推測が成り立ちます。確かに普通に買うと1冊2,000円と高い一方、定期購読にすると大きく割り引かれるところを見ても、定期購読者を増やして安定的な読者を得ていく戦略なのでしょうね。

 お正月にユーキャンのCMをやたら見るように、新年というのはみな何か新しいことをはじめようという気持ちがあって、定期購読という新しいことを始めさせるのにもぴったりの時期なのでしょうね。そこで、新年に発売される「2月号」で、約10万部という5倍の規模を持ち、なおかつ読者層(30〜50台男性)がかぶる「週刊ダイヤモンド」に似たテイストの特集を打ち、表紙の色も変えて目立たせてまず手にとらせる、ということをしているのではないでしょうか。

 さすが戦略を説く雑誌だけに戦略的ですね。そんなわけでまんまとはまって買ってしまったわけです。

 

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(ADinfo)
http://mediadata.diamond.ne.jp/dhbr/
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューメディアデータ2013年版
http://mediadata.diamond.ne.jp/static/admin/wp/wp-content/uploads/2010/10/DHBRmediadta_2013.pdf
週刊ダイヤモンド(ADinfo)
http://mediadata.diamond.ne.jp/dw/
日本雑誌協会 印刷部数公表
http://www.j-magazine.or.jp/magadata/?module=list&action=list
月刊タウン情報CU* 12月号部数報告書
http://medicomm.jp/image2/1312_CU9594909495F18D90.pdf
月刊タウン情報トクシマ 12月号部数報告書
http://medicomm.jp/image2/1312_835E83458367834E9594909495F18D90.pdf