【読書メモ】 富坂聰『中国の論点』角川Oneテーマ21

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 先日台湾に行った折、成田空港で台湾に関する本を買って機内で勉強しようと本屋を物色。が、中国や韓国に関する本は山のようにあるのですが、台湾についての本が見つからないんですね。仕方がないので、大陸から見た台湾についての記述がある、この本をチョイス。台湾は近くてすぐ着いちゃうので、新書サイズなのもよいところで。

 著者の富坂氏は、昔講演を聞きに行ったときに、なかなか興味深い話を分かりやすく説明される方だという印象でしたが、この本においても、Q&A形式で、「中国人はなぜそんなに日本人のことが嫌いなのでしょうか?」「中国はチベットを結局どうしたいのでしょうか?」「中国人は幸せなのでしょうか?」などシンプルながら興味深い質問に対し、わかりやすく回答しています。

 「中国と北朝鮮の関係はどのようなものでしょうか?」の項目では、「北朝鮮が最も計画しているのは実は中国で、中国にも同じような感覚がある」と指摘します。北朝鮮の核開発に最も警戒しているのが中国で、例えば将来北朝鮮が台湾に対して核技術を流す可能性まで想定していると。実際に1997年には台湾は自国の使用済み核燃料の処理を北朝鮮に依頼しており(実現には至らず)、全くない話でもないということのようです。

 また日台関係についても、「日本は台湾とどのように付き合えばいいのでしょうか?」の中で述べています。第二次大戦後のサンフランシスコ講和条約時に中華民国蒋介石が日本に対する賠償を放棄し、日本の国際社会への復帰を後押ししたという事実がある一方、「『親日的』といわれるほど台湾に何か良いことをしてきたのか、と問われたとき、きちんと答えられる自信があるのか疑問」であるとし、日本は「いながらにして台湾の人々に好かれる理由など何もない」と捉えるべきであると指摘しています。

 この時に台湾を訪問したときには、多くの台湾の方に大変良くして頂きましたし、小龍包もマンゴーアイスもおいしくいただきました(関係ないか)。色々な問題もありつつ、現在一見良好に見える日台関係も、努力なしには永遠に蜜月ではありえない、という認識を新たにしたのでありました。