インドネシアの物乞いビジネスが想像以上にすごい

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テイクオフ:ジャカルタの街角で物乞…[社会](NNA)
http://news.nna.jp/free/news/20131205idr001A.html

> ジャカルタの街角で物乞いをしていた50歳すぎの男性が、先月末に治安当局に摘発された。ジャワ島西部の田舎から出てきて2週間。老いた知り合いの男性を手押し車に乗せて当てもなく放浪し、「稼いだ」カネは約25万円。摘発時に手押し車から札束が出てきたから、世間の話題をかっさらった。


 ジャカルタの物乞いが2週間で25万円稼いだという話。日給約2万ってすごいですよね。しかも老いた知り合いまで連れて、というか、連れていたからこそ成し得た金額なのでしょう。
 物乞いは、一般的には乳幼児を連れて行うことが多いみたいです。連れていると実入りが変わってくるということで、価値があるところには当然ビジネスが生まれます。


首都の物乞い摘発強化  レバラン後の時期とらえ (2013年08月14日)(じゃかるた新聞)
https://www.jakartashimbun.com/free/detail/12716.html


> 州警備隊は児童保護の観点から、警察の協力も得て、特に他人の乳幼児を抱きながら金銭を求める物乞いの摘発に力を入れる構えだ。(中略)1日1万5千〜2万5千ルピアほどで乳幼児をレンタルするブローカーが、中部ジャワの田舎で子どもの養育費を支払えない親から一時的に引き取ってジャカルタに連れてくるケースなどがある。
> 子どもを抱くことで、収入が大きく増えるといい、1日20万ルピアを得る人もいる。
(引用者注:ざっくり1円=100ルピアです)

 
 すべての物乞いの家族に常に乳幼児がいるわけでは当然ないので、なんとレンタルサービスがあるみたいなのです。結果、絶対的貧困層の乳幼児もミルクが飲める、という構造なのかもしれませんが。。
 とはいえ高くても見入りは1日20万ルピア、つまり約2千円。冒頭の人の収入がいかに異様であることがわかります(というか本当に物乞いだけで稼いだのかな)。これからは老人のレンタルがでてくるかもしれませんね。
 そんなインドネシアの物乞いについての研究もなされているようで、


嶋田ミカ(2008)「インドネシアにおける「ホームレス」と「物乞い」 : ジャカルタとスマランにおける調査の中間報告」『社会科学研究年報』No.38, pp.169-173
http://repo.lib.ryukoku.ac.jp/jspui/bitstream/10519/2306/1/KJ00005241954.pdf


 嶋田(2008)では、物乞いへのインタビュー調査を通じ、インドネシアの物乞いはホームレスではなく、多くは住居を持っていることや、行商や清掃員などよりも高い収入を得ていることを明確にしています。物乞いは普通自分の収入を明確にしたがらないと思うので、ホントに正直に答えてる? という疑問はありつつ、調査としては貴重ですよね。結果は日本の生保が最賃を上回るみたいな話を連想させますが、インドネシアの行政も手を焼いているようで、


> 折しもジャカルタ知事が、物乞いに施しをした市民に最大1万円の罰金を科す方針を表明。(NNA)


 ということで、今後は物乞いビジネスの魅力は小さくなっていくかもしれません。