ビミョウなMBAホルダー、二代目社長ゴースト説に迫ってみる

MBA受講のため残業できません 二代目社長「そんな奴評価できないでしょ」
 
 
 大人気の「ああ勘違い 飛べないスーパーマンたち」の連載第三弾です。そりゃ、長時間労働を重視するような業務内容の会社だったら評価できないだろうなあ、なんて思ってしまうタイトルですね。
 
 
>前回に続き、コンサルティング業界で活躍する上級幹部が指摘する、今どきMBAを取得しようとする人にありがちなパターンの二つ目は、自分の卒業大学名に自信の持てない人が、社会人大学院なら入りやすいだろうと、"学歴ロンダリング"するケースだそうだ。
 
 
 なんと、前回パターンが二つあるといいつつ一つしか書かれていませんでしたが、もうひとつが一週間あけて発表されていました。なんだ、「次週に続く」だったのか。で、タイトルにも引用されている二代目社長いわく、
 
 
>「私もそのクチでしたが、ガラパゴスMBAは、青学とか立教とか明治とかBランク校、あるいは日東駒専のCランク校出身者が多かったですね。勤め先は、メーカー系と、IT系、大手だけど人材派遣会社とか、ビミョウな人が多かった気がします。(後略)」
 
 
 「ガラパゴスMBA」はMAR(CH)や日東駒専が多かったって、この人ほとんどの国内ビジネススクールに通ったってことなのかな。まさかガラパゴス諸島にあるビジネススクールのことじゃないよね。メーカーやITをビミョウとばっさり言い切るのもすごい。Apple とか Google のことを言っているんですかね。
 
 
>「ま、そのために、学費に300万円近く取られたのは痛手でしたが、それも親が払うので、ね」
 
 
 二代目社長で親が払うって、要するに企業派遣でしょそれ。そりゃ親もビジネススクールにでも入れないと、と不安になるのも分かります。
 
 で、実際、このビミョウな二代目社長が行った「ガラパゴスMBA」とはどこなのか。関東の大学出身者がほとんどだったということで、おそらく関東のビジネススクールですよね。で、話の流れからMARCHや日東駒専じゃないですよね。そして学費が300万近いということで、国立(筑波や一橋)も消えますよね。理科大などはMOTですし。
 
 で、残るは早慶かと思うのですが、WBS(早稲田)生の出身大学(学部)は早慶が大部分を占めていますし(*1)、
 
 
>「僕みたいな学歴が高くない人にとっては、たとえ国際認証されていない"なんちゃってMBA"でも、学歴のアップグレードにはなります」
 
 
 と答えているところから、AACSBとEFMD(という機関)から認証されているKBS(慶応)も消えます。
 
 
 ――あれ?
 
 
 なにか重要なポイントを見逃しているのかな。あるいはこの二代目社長は実は存在しない? 
 
 そう思うと、一般的じゃない「ガラパゴスMBA」といった用語を使ったり、普通あまり気にしなさそうな国際認証に言及したりと、あまりにこの連載の趣旨に沿いすぎた回答をしているような気もしてきますが、実際はどうなのでしょうか。
 
 そして後半ではおなじみの「コンサルティング会社の幹部」氏が再登場です。
 
 
>「コンサル会社や優良ベンチャーの幹部職などMBAで学んだことが活かせる組織では、既にMBAは採り終えたという印象です。MBAはもはや希少価値ではないため、MBAを取ったから即、外資コンサルや外資金融に、将来性の高いベンチャーに入れるというものではありません」
 
 
 優良ベンチャーって、なんか変な言葉ですね。優良なのかどうかわからない、評価が定まっていないからこそベンチャーなのではないかという気もしますが。そして既に取ったMBAはずっとやめないのか、事業が拡大して新たな人材の需要が出ないのか、など謎は深まります。採り終えたって、もしや自分の会社の話?
 
 
>「(前略)最近はグローバル展開を加速しているため、いわゆるクロスボーダー取引と言われる海外企業との直接M&Aや投資実務を経験した人を欲しがる傾向が強いですね。MBAはこういうことを机上では習うみたいですが、多くの場合、実務が出来るわけではないから、候補者にさえならないそうです」
 
 
 机上の勉強しかできないMBAは海外企業との取引には向かないけど、コンサル会社や優良ベンチャーの幹部職はできるんですね。うーん、いやはや。
 
 
 
 
*1 2012年4月入試データ(早稲田大学ビジネススクール