日本は世界一の卵の国だった

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 今月の講談社おとなの週末」の特集は「卵の時代が来た!」ですが、みなさん、卵って普段からコンスタントに食べますよね。だいたい一日1つ、オムレツの日とか、場合によっては2つ以上食べる日もあるかもしれません。

 実は、日本人って、世界一卵を食べるヒトタチみたいです。

 グラフは、国別の、卵類の一人当たり供給量を示したものです。日本は19.1kgで41カ国中堂々のトップ。41カ国の平均値10.0kgの、ほぼ倍の量です。そんなに卵好きだったんですね、我々。Mサイズの卵ってだいたい60gくらいらしいので、19,100を60で割ると318。おお、やはり一日1つくらい食べていることになりますね(数値は供給なので食べている量はもう少し少ないでしょうけど)。

 日本食というと、スシやサシミなど、魚が多い印象がありますよね。実際に一人当たり年間供給量の58.6kgは世界でも多い部類ですが、韓国の74.3kg、ポルトガルの61.5kgよりは少なく、世界トップではありません(韓国も焼肉のイメージがありますが、むしろ魚を食べる国なんですね)。むしろ日本=卵の国、というのが実態に即したところなのではないでしょうか。オムライスも日本生まれですし、なにより世界でも珍しい生食文化もありますし、首都のど真ん中にビッグ・エッグなる施設だってあるのです。

 ちなみに2位は中国、3位はメキシコ。メキシコはやや意外ですが、朝食の基本は卵料理なのだとか。アミーゴ、セニョリータ!(言ってみただけです)

 ところで、そんな卵もコレステロールが高く食べ過ぎるとよくない、なんて話を聞きますよね。でもこれ、日卵協こと日本卵業協会は誤解だと断言しています。曰く、昔ロシアでウサギに卵を食べさせたところ、コレステロール値が上がったところからこの説が言われているのだけど、上がったのは草食動物に動物性の食品を食べさせたからであって、人間は大丈夫なんだと。もちろんあらゆる食品は食べ過ぎるとよくないとは思いますが、過度におびえることなく、豊かな卵ライフをこれからも送っていきたいですね。


*「タマゴとコレステロールの関係は誤解!」日卵協

日本の交通事故数って世界一だったんですね

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 日本は安全な国、というのが定説ですが(ライフスペースじゃないですよ)、こと交通事故に関してはそうでもないようです。

 グラフは国別の、人口10万人あたりの交通事故数の比較です(*)。なんと日本は569件で世界ワースト1位。もっとも交通事故にあう可能性が高い国になっているようです。こりゃ、移動なんてするものじゃないですね。

 理由としてまず考えられるのが、車が多いから、です。人口1,000人あたりの四輪車普及台数(**)は、世界平均158台に対して日本は597台とかなり多いです。ただし米・豪・伊・加・瑞(スイス)・仏よりは少ないので、これだけでは説明できません。オーストラリアなんてもっとも事故が少ない国ですし。

 あとは人口密度も関係していそうです。狭いところにヒトがいっぱいいたら、そりゃぶつかることもあろうと。グラフに出ている国でkm2あたり300人を超えているのは、韓・蘭・印・白(ベルギー)・日のみ。このうち韓・白・日はランキング上位であり、理由の一つとしていえそうですが、蘭・印はむしろ下位にあり、これも説明し切れているともいえません。ただしオーストラリアが事故が最も少ないというのは、人口密度が3.0人/km2(日本の1/100以下!)という国土の状況が影響していることは考えられそうですね。

 大きそうなのは、「そもそもちゃんとカウントされているのか」ということです。日本では事故を起こせば軽微なものでも警察に連絡する、というのは半ば常識ですし、警察の統計も信頼性が高いものですが、多少ぶつかったところであまり気にしない、という国や、警察の評価が下がるから事故は少なめに報告しておこう、とする国も一方にはあるのではないかと思います。そうでもなければあの国やあの国が下位にいる理由が納得できない、というのはあまりに客観性を欠いた意見だとは思いますが。いやはや。

 いずれにせよ、日本で少なくない事故が起きているのは事実ですので、交通安全には十分気をつけたいものですね。ちなみに10万人あたりの交通事故死者数では日本は4.51人で、20人を超える南アフリカ、イラン、マレーシア、UAEなどよりはるかに低く、また事故数が最も少ないオーストラリア(6.06人)よりも少ない値となっています。日本は軽微な事故が多い国、といえるでしょうか。

*出所:総務省統計局『世界の統計2014』
**出所:国土交通省、Ward's、OECD国連よりJAMA

なぜ競合誌って何から何までそっくりなのか

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 どこの業界にも同じカテゴリの商品やサービス出すライバルっていますよね。ソニーパナソニックJALANA、イオンとヨーカドー、吉野家すき家などなど、それぞれ工夫を凝らして競合に負けない商品・サービスを開発したり、そのよさをアピールしたりしているわけです。

 が、こと雑誌をみると、いかに競合誌にそっくりに作るかをお互い競っているかのようなフシがあります。

 泣く子も黙る大手出版社の講談社小学館は、それぞれ「週刊現代」「週刊ポスト」という週刊誌を出していますが、発売日は共に月曜日で、表紙も文字中心のテイストが似通っています。記事のテイストも似ている(気がする)ので、恐らく読者層も似通っているのでしょう。

 同様に、大手新聞社が出す「週刊朝日」「サンデー毎日」は共に火曜日発売、表紙は人物の写真が大きく、とこちらも似通っています。ちなみに「サンデー毎日」はサンデーに出るわけでも毎日出るわけでもない、というのは手垢がついたネタですね。戦時中は「週刊毎日」という、これまた不思議な誌名だったとか。

 文芸系出版社の「週刊文春」「週刊新潮」は木曜日発売で、共に表紙は絵で、そのテイストの似通いっぷりは雑誌名が書いてないとどちらがどちらか分からないほどです。出版社の看板は硬そうなのに中身がわりとエグいのも似ていますね。

 他にも「日経ビジネス」「週刊ダイヤモンド」「週刊東洋経済」のビジネス系が月曜発売だったり、「週刊女性」「女性自身」の女性週刊誌が火曜日だったりと、枚挙に暇はなさそうです。ただし、「週刊少年ジャンプ」が月曜である一方、「週刊少年マガジン」が水曜だったりと、競合誌でも同じ曜日じゃない例もあったりするようです。

 このような状況になっているのに、大きく3つの理由があると思うのです(笑)。

 一つ目はまず、それぞれ似通っているから曜日を変えても部数は増えない、という点ですね。(怒られそうですが)中身が似ているので、仮に「週刊ポスト」の発売日を水曜日にしても、「週刊現代」読者は水曜日に「週刊ポスト」を買いはしないと。一方マンガ雑誌はある意味中身は完全に違うわけなので、「ジャンプ」読者が「マガジン」も買うことはありうると。そんなブルジョワっぽい子供、イヤですが。

 似通っているところは必ずしも悪いわけでもなく、例えばある週の「週刊現代」の特集が気に入らないヒトがいても、そんな人はその週は「週刊ポスト」を買うことにより、「月曜日に週刊誌を買う」という習慣は維持してくれるわけです。

 二つ目は、宣伝効果を共有できる、という点があると思います。ピザーラがCMをいっぱいうつと、視聴者はピザが食べたくなって、競合のドミノピザの売上も増える、なんてことがあるらしいですが、例えば「週刊文春」を毎週読んでいる読者は、新聞や中吊などで「週刊新潮」の広告を見て、今日が「週刊文春」の発売日だということを思い出したりと、それぞれの広告が競合に対してもプラスに働いて、お互い得をするということがあるのではないでしょうか。書店の棚でも倍目立ちますしね。

 三つ目は、競合誌から読者を引き抜ける、という点です。例えば「サンデー毎日」の発行部数は11万部ですが、「週刊朝日」は18万部です(出所:JMPA)。「サンデー毎日」としては、「週刊朝日」と同様の雑誌ですよ、というアプローチをしたほうが、「週刊朝日」の読者がたまにはこっちも買ってみようか、と手に取ってくれる可能性があるわけです。

 このような、色々な力学で現状になっていると思われる雑誌の発売日。我々が面白い雑誌が読めるのも、ライバルの存在のおかげなのかもしれませんね。

日本語版『21世紀の資本』はなぜ中国語版の5倍の価格なのか

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 日本語版が出て年末の必読書として話題になったトマ・ピケティの『21世紀の資本』。本のレビューの中で、なんで日本語版は英語版に比べてあんなに高いんだ、という批判というか苦情があったので、各国の同書籍の価格を比較してみました。


■国別『21世紀の資本』販売価格
 中 1,250円 (65.00元)
 伯 1,656円 (R$36.96)
 印 1,714円 (INR895.00)
 加 2,656円 (CDN$26.30)
 英 2,698円 (£14.98)
 西 3,347円 (€23.75)
 仏 3,523円 (€25.00)
 米 3,540円 ($29.67)
 独 4,220円 (€29.95)
 丁 4,312円 (€30.60)
 日 5,940円

*伯:ブラジル、西:スペイン、丁:デンマーク
*各国版アマゾンでの1/14現在販売価格。電子書籍でなく紙の本。1/14現在のレートを使用


 思いのほか、国によってずいぶん違うんですね! 苦情があったとおり、日本が一番高くて5,940円なのですが、いちばん安いのは中国で1,250円。およそ1/5という安さで、もちろん円安という要因もありますが、同じ中身の本でここまで差がつくのも不思議なところがあります。アマゾンで売っているなら、海賊版じゃない、よねえ。

 なぜ日本の本は高いのか。大きく3つの理由があるんじゃないかと思うわけです(理由といえばたいてい3つあるものですよね)。

 まず思いつくのが定価販売を小売店に強いることができる「再販制度」です。表の中では日本のほかにフランス、ドイツ、デンマーク再販制度が導入されているので、これらの国が上位に来るのは納得です。そういう意味では再販制度のないアメリカの価格は意外と高いといえるかもしれませんね。

 あとは要するに、「その値段でも売れるから」というのがあるのでしょう。日本人はあの値段でも買うだろうと考えたからあの値段になっているわけで、現にアマゾンの1/14時点の売上ランキングでも全書籍中4位と、非常に売れているようです。

 つまりは、この数字だけを見ると、(ベストセラーになっている日本以外の国も含めて)この値段でも安すぎた、ということかもしれません。このような本の読者層にはgより高いrの恩恵を受けた層が多く、あまり価格を気にしないで買うヒトが多い、などと読んでもないのに知ったかぶって書いてみたりするわけですが。はい。

 3つめの理由は、「その値段じゃないとペイしない」です。あるいは売れるものを売れるうちに売っておかないと、他の(赤字の)本を出せない、とでもいいますか。

 日本人ってなんとなく他の国のヒトに比べて本を読んでいそうな印象がありますが(ありますよね?)、どうやらぜんぜん読んでないらしいです。主要30カ国を調査対象としたNOPワールドカルチャースコアによると、週の読書時間は、グローバル平均は6.5時間のところ、日本は4.1時間で30カ国中29位と非常に低い値です。みんなちっとも本を読まないので本の値段が高くなっちゃう、ということもあるのかもしれません。ちなみに本の価格が最も安かった中国は8.0時間と全体でも3位。日本人の倍、読書家なんですね。

 そんなこんなで世界一高い『21世紀の資本』日本語版。本棚の飾りとして買ってみるのも一興ではないでしょうか。


*中国語版『21世紀の資本』
*NOP World Culture Score(TM) Index Examines Global Media Habits

あなたのお名前なんてえの?

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 昨今「DQNネーム」などといった蔑称により話題になりがちな子供の名前ですが、名前の付け方に元号が変わること、つまり「改元」が影響するということが昔からあるようです。

 例えば、明治安田生命調べによる大正元年(1912年)の名前ランキングをみると、男の子は「正一」が1位、「正雄」3位、「正」4位、「正治」7位、「正夫」9位と、「正」という字を使った名前のオンパレードです。ちなみに大正ニ年の1位は「正二」、三年は「正三」となっており、年子が多かったということかもしれませんね。

 大正元年は女の子も「正子」が4位、翌年には1位になるなど、こちらも元号の影響が見て取れます。尚、大正元年の1位は「千代」でした。君が代からきているのでしょうか。

 そして既に「遠くなりにけり」の感ある昭和ですが、昭和元年(1926年)は年末一週間ほどしかなかったので、昭和二年のランキングを見るに、男の子で「昭二」1位、「昭」2位、「和夫」3位、「昭一」5位となっており、女の子も「和子」1位、「昭子」2位と、「昭」と「和」が大変多く使われております。ちなみに「和子」は昭和14年までランキング1位をキープし、この世代に相当な和子さんがいらっしゃるようです。

 一方16年前の平成元年(1989年)は、男の子は「翔平」が7位に、女の子は「成美」が4位と、それぞれベスト10に1つずつ入るのみ。改元の影響はなくはないが、昔ほどはない、といったところでしょうか。国民のメンタリティの中で、国家が占める割合が減少しているということかもしれません。

 ちなみに昨年・2014年の男の子1位は「蓮」、女の子1位は「陽菜」「凛」らしいです。「蓮」というのは2014年にモネ展が開催されたから……?



名前ランキング 生まれ年別ベスト10/明治安田生命

異物混入って実際に増えているのか

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 ハンバーガーショップなどにおける食品への異物混入のニュースが毎日のように流れていますが、単に騒ぎになったから今まで明るみになっていなかったものがなっているだけなのか、全体の傾向として、例えば輸入食品の増加などにより実際に増えているのか、気になったので調べてみました。

 グラフは、東京都が公表している、保健所への食品苦情の件数の推移です。まず全体では、2008年の7,536件が、2012年には4,867件と、35%も減少しています(複数要因によるダブルカウントを6~9%程度含む)。問題が起こった数ではなく、保健所に苦情を言った数ではあるのですが、わりと如実に減少傾向にあるのですね。

 話題の異物混入の減りは更に大きく、1,365件が681件と半減。もしかしたら2008年だけ極端に数値が高かった可能性は無きにしも非ずですが、その後の推移を見ても減少傾向にあるというのは間違いではないでしょう。こんな短期間でこんなに減るものなんですね。

 ちなみにいちばん多い「有症」というのは、何かしらの症状が有ったということで、食中毒とか、そういうことだと思います。これが多いのは、食中毒=保健所というイメージが消費者の中にあるからかもしれません。

 いずれにせよ、このような苦情の減少には、メーカーや店舗、あるいは物流側の並々ならぬ努力があったと思います。クレームはゼロで当たり前、と思われている向きもあるのでなかなか大変だとは思いますが、引き続き頑張って頂きたいですね。

若者は今も盗んだバイクで走り出しているのか

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「盗んだバイクで走り出す」といえば今から30年以上前のの1983年にリリースされた尾崎豊のデビュー曲「15の夜」ですが、はて今の若者も盗んだバイクで走り出しているのか、調べてみました。

 警察庁の統計によると、少年(14歳以上20歳未満)によるバイクの窃盗の検挙人数は、2003年には10,669人でしたが、2012年にはそれが4,932人まで下がっています。なんと半減以下。若者の深刻な「盗んだバイクで走り出す」離れがあるようですね。

 尚、バイクの窃盗で年齢を問わない全検挙件数のうち少年が占める割合は、2003年の95.1%から2012年の93.5%とわずかに減っておりますが、引き続き少年が主体の犯罪といえるようです。55の夜には盗んだバイクで走り出さないんですね。

 ただし検挙人数の減少は、検挙率の減少、少年の減少、バイクの減少といった要因も考えられます。まず検挙率の減少、すなわちお巡りさんが前より犯人を捕まえられていないんじゃないの、ということですが、2003年の8.0%から2012年の11.2%へとわずかに増えており、それが要因ではなさそうです。しかしそれでも1割しか盗んだバイクで走り出した犯人はつかまらないんですね。味をしめて再犯、というのも多いのかもしれません。

 少年の減少も、グラフの通り人口比率で検挙人数が減っていることから、要因とはいえなさそうです。またバイクの減少ですが、日本の保有台数は2004年の1326万台から2012年は1199万台となっています(出所:JAMA)。減ってはいるものの△10%と半減するほどではないので、やはり単純に少年は前ほどバイクを盗まなくなってきている、ということが言えそうです。

 ちなみに少年犯罪全体でも、2003年の14.4万人から、2012年の6.5万人と大きく(△55%)減少しています。これは防犯活動によるものなのか、教育によるものなのか、不良文化の衰退のせいなのかは分かりませんが、警察や文科省はもっとこのことを どやっ、と誇ってよいような気はしますね。